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styriarte 2016

2016年6月24日から7月24日まで

Viva la libertà

「Viva la libertà!」(自由万歳!)と言う声は夜通し鳴り響きました。ドン・ジョバンニにとっての自由とは、冷酷に身勝手に振る舞うということであり、彼はグラスを掲げて乾杯しました。彼以外のオペラの登場人物にとっての自由とは、権力志向のジョバンニを倒す、というまさに反対のものでした。民衆の「Viva la libertà」という叫びは、個人の自由を希求する願いがその後のさまざまな自由を求める戦いの起爆剤となる歴史上の重要な瞬間へと私たちを導いてくれます。そう、アメリカ独立運動やフランス革命の時代へとです。

 

1789年、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが18歳の時、フランスの自由への要求はもはや無視できるものではなく、ベートーヴェンも自由への運動に身を投じました。交響曲に次ぐ交響曲で、ベートーヴェンは深く根付いた階級の差別という社会の壁を登り、彼の同世代の人の心に新しい種類の人間性へと通じる扉を開きました。2016年のstyriarteでは、当初の計画にあったニコラウス・アーノンクールの指導にはよらないものの、コンツェントゥス・ムジクスのオリジナルサウンドで、ベートーヴェンの9つの交響曲が演奏されます。2015年12月のニコラウス・アーノンクールの突然の引退表明を受けて、3人の二世代若い指揮者が、この重責を引き受けました。アメリカ合衆国からはカリーナ・カネラキス、フランスからはジェレミー・ロレール、そしてコロンビアからはアンドレス・オロスコ=エストラーダが指揮者として挑戦します。3人の指揮者は、ベートーヴェンがかつてコンサートホール中の観衆の心を掴んだその当時のサウンドと、彼が作曲した熱狂的な音楽の世界を追体験させてくれることでしょう。そして自由の理想郷へ到達するための障壁が崩され、理想郷への扉が開かれることになるのです。このテーマは今回の壮大なベートーヴェンチクルスの全プログラムにおいて鳴り響くことでしょう。

 

ベートーヴェンに続く作曲家にとっては、自由を求める叫びは、もはや音楽の世界から切り離すことはできなくなりました。若きウィーン人のフランツ・シューベルトは、ハンガリーのフランツ・リスト、イタリアのジュセッペ・ヴェルディ、そしてポーランドのフレデリック・ショパンと同様に、自由を希求する叫びに心を乱されました。彼らはすべて自らの音楽と行動を通して、先輩のベートーヴェンがヨーロッパ音楽において確実に焦点を当てた自由を求め主張しました。しかし長い道のりがまだ先にありました。シューベルトの世代は、自由の太陽がメッテルニヒの支配する警察国家に没するのを見てとり、未だ果たされていない願望のはけ口を彼の歌曲の中に見出したのでした。2016年のstyriarteでは、このような闘いの物語を聞くことができます。たとえば、若きヴェルディのオペラ「レニャーノの戦い」の中での「イタリア万歳!」の合唱、リストによるハンガリー解放運動で処刑された英雄達への哀悼のメロディー、ショパンの革命のエチュード、希望に満ちて始まるように見えて実は絶望的にもの悲しいシューベルトの歌曲などです。

 

いわゆる「自由主義社会」でさえ、自由は継続して守られなければならず、より望ましい自由のための交渉が必要とされてきました。自由を標榜したアメリカ合衆国の設立者たちでさえ、婦人参政権と奴隷の扱いに見られる不公平で粗末な扱いについては黙って見て見ぬ振りをしてきました。「自由の女神」の陰に隠されてしまったアウトサイダーのために戦ったのは、亡命者たちに加えて、恐れを知らない女性たち、アフリカ系アメリカ人とユダヤ人でした。イギリスの婦人参政権論者たちは作曲家エセル・スマイスの音楽に合わせて、法廷内を行進して抵抗しました。そして、移民の子であったジョージ・ガーシュウィンとレナード・バーンスタインは自由の歌を歌いあげました。2016年のstyriarteでは、このような話に加えて、さらに多くの物語をお届けします。